香港生活

香港での商機(2)住宅購入編

2003年サーズの時、マンションの値段は驚くほど値崩れした。いわゆる銀主盤(銀行がオーナー)と言われるものがたくさんでたからだ。要はローンが払えなくなった人がマンションを銀行に差し押さえられることからこのような名称がついたらしい。

当時私が住んでいたマンションの低層階も同様に売りに出されていたことを鮮明に覚えている。確か100万香港ドル程度だったと思う。今は6倍以上の値段がついているようだ。古くてもどんどん値が上がるのが、ここ香港。実際投資物件を持っている人は本当に多い。そして儲けている人も。

今は政府の監督が厳しくなったため、2軒目を買うと税金を15%支払わなければならないが、以前は買い放題だったからか「銀主盤」を専門に狙っている人もいたくらいだと聞いたことがある。たいていは銀行がオークションにかけるらしいが、それでも普通の物件よりは安いらしい。

さて先週続けて物件を見に行ってきた。投資を考えている友人二組に便乗して、九龍地区のマンション物件を複数見るチャンスがあった。

そこで知ったのだが非永久居民が購入する場合税金は30%に跳ね上がる。以前中国人が物件を買いあさった時期があったことから、このように変わったそうだ。非永久居民の友人は、あと2年ほどで永久になるため、今は我慢ということであっさりあきらめることに。

もう一組は香港人夫婦。最初から新築マンションに目をつけており、これから建てる新築物件を狙っていて、その中からあっさり決めて頭金の支払いとなった。2ベッドルームで500スクエアフィートくらい。入居予定は2021年の夏らしい。購入金額は日本円で約1.5億くらい。

頭金は10%でもローンが組めるが、たいていは4割程度の支払いが安全だと言われている。彼らの場合は3割強を払い、その他手続きや税金などで50万香港ドルほどがかかるらしい。当然入居する前には、家具の購入などが別途で必要になる。

友人夫婦は30代後半で、去年生まれた赤ちゃんとの三人家族。ローンは25年だから、60歳を超えても払う必要があるよと笑いながら頭をかいていた。ちなみに夫婦ともにIT業界のエンジニアなので、夫婦合わせて8万ドル以上の収入は固いだろう。収入の30%程度のローンであれば悠々自適で支払えるのではないかと思った。もしこのまま雇用が保証されればの話だが。

香港の恐ろしいところは雇用の保証がないところだろう。

実際このような状況になると人材削減や給与カット、無給休暇取得などが求められる。それらに対応してきたから帰属意識が極端に低いのもうなづける。会社は守ってくれない、守ってくれるのは自分と家族だけだ。こう考えてる香港人は非常に多いと感じる。

話がとんだが、実際今が投資物件を購入する最もよい時期かというと、中古物件についてはもう少し待った方がよい感じもする。

現状からして、まだまだ病気が蔓延するとしたら、物件を見学する人すら少なくなっているので、そうなると急いで売りに出している場合などは値段を下げても売りたいオーナーも出てくるのではないかというのが、不動産などの意見だ。

前出の友人夫婦は新築マンションの購入にこだわっていたため、おそらくすぐに値崩れすることはないだろう。むしろ売りに出して早い時期に買った方が、マンションの階層や方角を選べてお得と判断したようだ。

何があってもただでは転ばないのが香港。だから魅力的だと、毎回いろんなことが起こる度に思ってしまう。しかしながら目に見えないウイルスは自己防衛する以外の何ものでもない。サーズの頃の衛生状況よりも格段によくなっている香港だが、まだまだ先が長そうな感触がぬぐえない。