香港の法律では定年の年齢が決まっていませんが、公務員や銀行では通常60歳定年制度を導入しているところが一般的です。
最近は60歳以降も引き続き今の職場で継続して働く人が多く、一年毎の契約社員制度を使う会社もあれば、週休3日・4日にして就労時間を短くしているところもあるようです。しかしながら日本との大きな違いは、契約社員になったからと言って給与の大幅カットは無い点です。
ここ香港では「職務主義」のため、「この職務に対して仕事ができるかどうか」で給与が支払われます。年齢性別婚姻状況などは全く関係がないファクターとなるため、たとえ60歳の定年年齢を超えても以前と業務内容が同じであれば給与カットをしないのが一般的です。
もちろんスタッフの同意を得られたら給与の調整もできますが、一般的に3割4割減のような大幅調整をすることはないため、雇用主側は予め状況と慣習が分かっている方がその時になって戸惑うことは無いのではと考えます。
ここ一年くらいで、コロナ禍を経て定年年齢を引き下げた企業様に勤めている50代前半の方からの転職相談もいただいています。本来は65歳定年だから入社したのに、60歳定年に変更になってしまい、今から転職しようかどうか迷っているそうです。
転職マーケットでは50代前半で転職される方もいらっしゃいますが、肝心の65歳定年にしている企業がまだそこまで多くないため、希望されるポジションが見つかるかどうかがポイントになります。
ちなみに香港政府が公務員の定年年齢を65歳にするという話は以前から出ており、現段階では2015年6月1日以降に入った事務職については65歳が定年年齢となっています。(それ以前から就労している人や警察官などは除く)
最近は香港事務所の管理を日本から遠隔でされている企業様も増えており、スタッフさんの定年の話題がつきません。現在の寿命を考えると65歳どころか70歳でも働ける人は多々いそうな勢いだということと、更に香港の移民者増加と2000年以降の出生率が極端に下がっていることを考えれば、定年年齢を見直すのもありではないかと考えます。