香港文化・ビジネス

キャリアコンサルタントが見た香港移民ブーム

2019年6月から始まった「ムーブメント」が影響してか、香港人の移民熱に拍車がかかっているように感じます。ここでは香港人や在港日本人の他国への移民とその先でのキャリアについて考えてみたいと思います。

香港人はどこへ行く?

1997年の中国返還時にも移民ブームが起きた香港。その際の行き先はカナダやイギリスが圧倒的であったことは有名です。そして昨今、集まると話が出る移民先の第一はマレーシア。そして台湾が続きます。

マレーシアの魅力

香港人にとってのマレーシアの魅力は何よりも広東語が通じ、中華系が人口の4分の1を占めることでしょう。昔の香港を彷彿をさせるような街並み。街角で気軽に広東家庭料理が食べれることも大きなポイントです。安易に胃袋を満たしてくれる場所、簡単に食材が手に入り同じ味を再現しやすいという点も彼らに安心感を与えてくれます。更には日本円で約2500万円で住宅を購入すると起業も可能で10年間の長期滞在ビザが出るそうです。

私の友人で30代後半の香港人夫婦は、デモから子供を守りよりよい教育環境を確保するため2019年9月からクアラルンプールに移民しました。奥さんの方は元々教育関係者で以前から自分でビジネスを立ち上げていたこともあり、今は香港人のマレーシア移民を手伝うビジネスをしています。特に教育面での知識やコネクションも豊富なため、フェイスブックでページを立ち上げ無料説明会などを定期的に開催しているようです。

日本人にもマレーシア就職は人気が出てきているようで、コールセンターなどの転職支援サービスもあるようです。

台湾でのビジネス展開

台湾贔屓の香港人が多いのはいつ頃からでしょうか。香港人にとって日本旅行がここまでポピュラーでなかった時代は、旅行へ行くなら安さで選ぶタイか或いは近場の台湾と言われてきました。一日何十便も飛んでいる飛行機、たった1時間ちょっとで行ける、まるで国内移動しているくらい気安く行ける場所です。

台湾移民については2019年のムーブメントが起きるより以前からちょこちょこあったように感じます。気が付いたら香港の友人が台湾に移民していたことも何度かありました。では彼らはなぜ台湾を選ぶのでしょうか。それは物価、温和な国民性、言葉、食、このあたりが決め手になりそうです。更には香港・マカオ人の場合、投資額600万台湾元(約2154万円)あれば台湾の居民権を取得が可能ということです。

私の香港の友人で台湾に移民した40代男性は、政治的背景のことも大きく関係しての移民だと聞いたことがあります。この方曰く、香港が中国に呑み込まれる前に違う場所を探したそうです。今の商売は水晶などのジュエリー販売。自分でビジネスを立ち上げ、お店とオンラインの両方で主に一般コンシューマーへの販売を行っています。その後香港で年に4回行われるジュエリーショーに出展してみたところアジアの他国からの引き合いもあったと聞きました。

国際結婚した日本人の移民先は?

香港で国際結婚している人たちと、将来の話をする時移民について話が出ることも多々あります。そのほとんどは日本に戻るという選択肢であるようですが、前出のマレーシアも英語が通じるという点で可能性はありそうです。

日系企業でマネジメント職に就く日本人Aさんは昨年のムーブメント後、香港人の伴侶と相談して東京にマンションを購入したそうです。購入金額は3000万円ほど。古いがしっかりした造りだそうで、これから内装に取り掛かろうとおもっていた矢先このコロナ騒ぎで日本へ行くのが難しくなったとのこと。ちなみに香港人の旦那様は日本語はほとんど話せないそうですが、それでも日本を強く希望されたとのこと。決め手は医療と福利だそうです。彼らは50歳前後でしょうか。定年後のことを考えて場所を決定したと聞いています。

香港人のフレキシビリティは世界一

香港に20年住んでいてここの人々のフレキシビリティには驚かされます。解雇通知を受けても直ぐ次を見る彼等。逆の言葉で表現すると帰属意識が低いとも言えます。だから例え移民したとしても、どこでも強く逞しく生きていくのだろうと容易に想像できます。常に様々な人種と切磋琢磨している香港にいて、広東語・英語以外に普通話(北京語)ともう一言語を流ちょうに話す彼らを見ていると、キャリア形成で迷っている人の背中をどんと押してあげたくなります。年齢やその時の状況で住居や働き方が変わるのは当たり前ですが、どこにいてもしっかり自分を持って生きていきたいと思います。

このブログでは香港内での転職にターゲットしています。転職情報や履歴書作成の仕方、広東語や日本語を使用した模擬面接なども用意していますので、お気軽にご連絡ください。