香港に20年以上いるせいか、いろんな話をあちらこちらからいただくことが多くなりました。連絡をくれる友達や友達の友達は、大抵の場合自分でビジネスをしていて、もっとビジネスを広げたいと常にアンテナを張っている人ばかりです。それらはおおむね香港人の友達からのオファーばかり。ここでは香港人の仕事観と価値観について考えてみたいと思います。
保険の営業はなぜここまで浸透しているのか?
ここ香港ほど簡単に会社設立ができ、誰もがオーナーになれる場所は世界広しといえどなかなか無いと思います。ここでは1香港ドル(約14円)から会社登記をすることができます。だからでしょうか、会社を設立する人があとを絶ちません。いくつも会社を持ってカテゴリー別に動かしている人も時々見かけます。その一匹狼の性質は、一般的に群れを好む国民性とは大きく違い、常に目立つように前に前に出ているようにさえ感じます。
例えば保険の営業をしている人はその多くが二足の草鞋です。私が10年前から通っている美容サロンのオーナーは55歳を超えて一念発起して保険の勉強を開始。今までオフィスで働いたこともなく、PCも触ったことがなかった彼女が毎日i-Padと格闘する日々。そして最後は保険のライセンスを取得し、ある大手保険会社の営業員としても活躍しています。もちろん美容サロンはそのままキープ。逆に美容サロンの固定客に保険商品を紹介し、そこそこの売り上げを確保しているそうです。
ある30代の友人は子供が二人いる4人家族のお父さん。休日はさぞ家族サービスに励んでいるのかと思いきや、月~日までスケジュールはパンパンとのこと。その理由は個人で4つの会社を持ち、更にプロジェクトで年間契約しているメーカーもあり、追加で大学院のコースも受験中となれば時間がいくらあっても足りないのもうなづけます。この人も保険ライセンス保持者で、自分の会社に関する保険は自分で担当しているとのこと。こんなに忙しくてもそのあたりは抜かりないようです。
50代で未婚のAさんは老後の将来設計を考え、儲かる可能性が高い保険業界に転職。彼女はフルタイムで保険の営業をしています。月~金の午前中は自分のチームメンバーとのミーティングや会社がアレンジしてくれたトレーニングに参加。ランチ以降の時間はお客さんに充てるそうです。ランチを一緒に食べる、3時にお茶の時間にお茶を飲む、ハッピーアワーにお酒を飲む、夕食を食べるなどです。その合間で書類の整備や見積もりを作ったりするため、行きつく暇もなくあっという間に日付が変わっているそう。もちろんお客様が休みの週末や祝日は書入れ時となりますから、アポが立て込んでプライベートでの予定が立てづらいこともあるくらいと笑っていました。今から10年働いてしっかりお金を貯めたら台湾に移民してゆっくり暮らすのが彼女の夢です。
実際保険の営業という仕事は二足の草鞋でもフルでも、どちらの属性に対しても対応できるのでしょう。だからこんなにライセンスを持って仕事をしている人が後を絶たないのだと思います。彼らはもちろん出来高制ですから、一般的に基本給はありません。だからこそモチベーションを高く持たないと流されてしまうとも言えます。
キャリアコンサルとして転職希望者とお会いすると「次の仕事が決まらなかったからとりあえず保険をやってました。」という人も多々います。この間数か月~一年くらいだと記憶しています。保険会社にもよるみたいですが、大卒だと基本給がもらえるパッケージがあるらしく、保険の知識を学び煮ながら基本給を普通にもらって仕事をすることができます。ただしその場合のコミッションはかなり下がるそうですが仕事が無いよりはマシと皆さんおっしゃいます。時期的なものもあるとは思いますが、このように保険業界に腰かけ就職する人が後を絶たないように感じます。それを分かっていながら彼らを受け入れる保険業界は、結局新規顧客開拓ができれば良しと割り切っているのかもしれません。仮に契約さえとってしまえば、スタッフが辞めたところで契約とお客様は残りますから、別の人がフォローすればよいと考えているのかもしれません。
アルバイト禁止の日系企業
その逆でアルバイトを禁止している日系企業はまだ多いのが実情です。これはキャリアコンサルとして転職希望者と話している時、意外と驚かれることが多いです。アルバイト禁止が多いなら日系企業への就職は諦めますと聞いたことも一度や二度ではありません。しかしながら新型コロナウイルスの出現で働き方が変わりつつあります。一社に縛られるのではなく、より多彩な仕事の方法がより確率されてくることでしょう。
このブログでは香港内での転職にターゲットしています。転職情報や履歴書作成の仕方、広東語や日本語を使用した模擬面接なども用意していますので、お気軽にご連絡ください。